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けた。
しかし、人間は誰でも素晴らしい才能を一つは持っており、人間はみな同じであり、努力をすれば不可能はないと信ずる館長と熊本県立劇場職員は、昭和63年に続いて、まず5か月をかけて再び県下全市町村巡歴の旅をして組織の可能性を探り、1年をかけて、養護学校や福祉施設を中心に、県下を22のブロックに分け、巡歴によって調査したコーラスグループや音楽サークルと近くの養護学校や施設を組み合わせて組織作りをし、グループやサークルに1年間通ってもらい、共に練習に励むことにした。
コンサートの趣旨の説得、練習時間の調節、各ブロック毎の曲目の選定、練習方法、ボランティアの募集と介護の研修、膨大な費用の調達等、文化会館としての熊本県立劇場がこれまでに体験したことのない困難な問題が山積みであった。
しかし、これらを一つ一つ地道に克服し、結局、ハンディを持つ人700名、コーラス900名、ボランティア350名、テーマ曲「あなたの手を私に、私の心をあなたに(ユアハンド、マイハート)」のCDを入場券にし、観客も歌を覚えて来場してもらうことにし、2,500枚を完売、最後のテーマ曲はオーケストラの演奏によって大合唱することにしてメンバー100名、合計4,000名を越える大合唱が、平成5年4月25日、熊本県立劇場コンサートホールに響き、NHKのテレビ放送によって、全国に愛と感動の真の姿が伝わって行った。
反響は各地にひろがり、中でも北九州市は末吉興一市長自ら先頭に立って、2年間の準備ののちに、平成7年10月1日に5,500名の「ふれあいこころコンサート」を開催し、ここでも「ユアハンド、マイハート」が大合唱された。熊本県立劇場は北九州市に対しても、準備段階から全面的に協力した。
このコンサートはストレッチャーや車椅子のまま、かなり重度の障害者もボランティアの介護によって、1年間の練習にも、また一般社会人4,000名とも同じ立場の人間として共に歌うことが可能であるために大きな励みとなり、ベテランの福祉関係者も今まで自分は何をしてきたのだろうかと考えるほど感動し、コンサートの5時間半の間、涙を流し続けた。
さらに翌日からハンディを持つ子供やおとなすべての人の眼の輝きが異り始め、養護学校の教師や施設の職員が、人間は何かを成し遂げると、こんなにも表情や動作がはっきりと違うものなのでしょうかと驚嘆するほどであった。
平成9年6月15日、熊本県立劇場は再び困難に挑戦し、「第2回こころコンサート」を開催し、第1回を500人も上回る人が参加して1年間練習し、在宅障害者を組み込むことにも成功した。
いま、埼玉県も土屋義彦知事が実現に向って先頭に立っていが、劇場はこれも支援

 

 

 

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